原爆ドーム維持管理システム
世界遺産として登録された原爆ドームの保存・維持管理において、構造物の変状(劣化損傷状況)を把握するために過去の調査結果や補修履歴などの膨大な資料をデータベース化して一元管理・記録していくことは、管理状況を次代にしっかりと伝えていくためにもとても重要なことです。
さらに、3次元的かつ視覚的なシステムにすることで、劣化損傷状況などの位置・詳細を効率的に把握できる極めて有効なものとなります。
現在そのような取り組みとしてBIM(Building Information Modeling)が話題になっています。
広島市ではより有効な維持管理システムの構築に取り組まれており、弊社は健全度調査に加えて2007年より現在の維持管理BIMの構想に沿ったシステム開発にも携わっています。
●3次元モデルをベースに視覚的に状況把握
本システムでは、写真測量や3Dレーザスキャンにより作成された原爆ドームの3Dモデルをベースにして、その中で既存の調査結果や記録情報を連動させています。それにより、必要な時に効率的かつ迅速に情報を取り出すことを可能にするシステムとなっています。
原爆ドームの3Dモデル | 任意に拡大・回転させながらの表示が可能 |
任意の壁面をオルソ画像(正射投影図)で表示させることが可能 |
■個別の詳細記録 詳細確認したい箇所は、個別情報として格納されており、拡大表示させて補修跡や劣化状況について確認できます。 ※画面上でマウス指定した2点間距離等の計測も可能。 | ■調査結果の図化・記録 健全度調査の結果については、過去の調査結果をすべて図化しており(CAD)、経年的に比較検討することが可能になっています。 |
■補修補強などの工法選定や維持管理方針の策定を支援 システムから抽出される情報には損傷等の調査結果や補修工事による工法・材料の記録、または年次毎の履歴があります。これらを効率的かつ迅速に抽出することで、補修・補強などの工法選定や維持管理方針の策定を支援することが可能です。 | ■文書データや観測情報も格納 過去の調査報告書などもデジタル化し、データベース化しています。また、ドームの写真や、図面、文献についてもデータベースに格納されています。 さらに、倉庫室やドーム部の気温や湿度という観測情報も格納されています。 |
●さまざまな分野で蓄積した情報が活かされるデータベースシステム
本システムそのものが、原爆ドームに関する貴重な資料でもあり、幅広い分野への情報提供につなげていくことも期待されます。そのため、「世界遺産としての記録を将来にわたり継続させていく」ことはもちろん、3次元での可視化により「技術者の判断と迅速な作業をサポート」したり、また「プレゼンテーション用などの説明補助システム」としても活用できます。 |
|
このように、広島市ではこれまでの記録を残すだけでなく、それを積極的に活かしていくための取り組みをされており、弊社はそのサポートをさせていただいております。 ※こちらも、ぜひあわせてご覧ください。 |