RC構造物の深度調査手法について
既存施設の建て替えを行う際に、コスト縮減、工期短縮、廃棄物の低減の観点から既存の地下躯体の一部を残したまま再利用するケースが増えています。既存の地下躯体を再利用するにあたって、既存躯体の図面が残されていないこともあり、設計に必要な情報が得られないケースがあります。既存躯体の深度もそのひとつです。
そこで今回は、地盤に埋設された RC 構造物の深度調査手法をご紹介します。
・磁気探査
磁気探査は不発爆弾などを探査するための手法で、地中にある磁性体を探査することが可能です。既存躯体がRC構造物(磁性体)であることを利用して、躯体の深度を推定することが可能です。調査対象の近傍に探査孔(ボーリング孔)を設置し、孔内に磁気センサを挿入して上下させることで測定を行います。磁気センサから得られた信号波形を解析することで躯体の深度を推定します。
・速度検層
速度検層は地盤の弾性波速度を求める手法で、通常は地盤強度の推定などに用いられています。既存躯体がある場合、地盤を伝わる波と既存躯体を伝わる波の速度の違いを利用して、既存躯体の深度を測定することが可能です。調査対象の近傍に探査孔(ボーリング孔)を設置し、孔内に多連式受振器を設置します。地上に露出した既存躯体を直接叩いて起振し、構造物及び地盤を伝搬する弾性波を受振器で測定します。受振器の位置を変えながら測定を繰り返し、得られた走時曲線から速度変換点を求めることで、既存躯体の深度を推定します。