塗装塗替え時の塗膜の有害物質調査について
塗膜剥離状況 |
ほとんどの鋼構造物には防食のための塗装が施されており、鋼構造物の耐久性を長期間確保するためには、適切な時期に塗装の塗替えが必要です。
しかし、既存の鋼構造物の中には過去の資料がなく、どのような塗装が使用されたか不明な構造物もあります。過去に使用されていた塗装には鉛、クロム、PCBなどの有害物質が含まれている場合があるため、塗装塗替え時には塗膜の有害物質調査が必要となります。
塗膜の有害物質調査では、既存の鋼構造物から塗膜を採取し、分析を行います。塗膜の分析方法として含有試験と溶出試験がJIS等で定められており、目的に応じた試験を実施します。
含有試験は、塗装塗替え作業者の安全確保対策(健康被害防止)の必要性および周辺環境への飛散防止対策の必要性を判断するために実施し、溶出試験は、塗膜くずを廃棄物として処分する際の特別管理産業廃棄物へ該当するかを判断するために実施します。
●有害物質が基準値以上含まれていた場合、塗装塗替え時に以下の対策等が必要です。
・作業者の安全確保対策(適正な保護具の着用、健康診断の実施、作業主任者の選任など)
・周辺環境への飛散防止対策(作業箇所の隔離、湿式による塗装の剥離など)
・塗膜くずの適正な廃棄
弊社では鋼構造物の塗膜の分析のほか、目視調査をはじめ、塗膜厚測定や減肉量調査なども実施しておりますので、ぜひご相談ください。
●有害物質暴露防止に係る基準(含有試験)
分析項目 | 基準値 | 分析方法 |
鉛 | 含有しないこと (0.01%未満) | JIS K 5674 附属書A |
クロム | 1%以下 | JIS K 5674 附属書B |
PCB | 1%以下 | 低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法 |
●特別管理産業廃棄物の判定基準(溶出試験)
分析項目 | 基準値 | 分析方法 |
鉛 | 0.3mg/L | JIS K 0102.54.4 |
クロム | 1.5mg/L | 環告13号別表第一 |
PCB | 0.003mg/L | 環告59号付表4 |