発掘調査電子報告書システム
業務事例:埋蔵文化財発掘調査 電子報告書システム構築/広島県広島市(2009)
広島市では、官公庁の集中する八丁堀、紙屋町周辺を中心として、広島城内の武家屋敷跡の発掘調査が行われています。貴重な発見も相次いでおり、多種多様な遺構遺物の出土に対する有効な記録方法の開発が急務となっていました。
そこで、今回の発掘調査(右上写真 広島城跡裁判所地点)では、3Dレーザ測量による遺構の記録を行いました(右下写真)。
この方法は、記録保存という観点から見れば、複雑な遺構形状を3次元のデータとして記録可能で、周辺地形も含めた遺構の再現性が極めて優れていることから、理想的な記録方法であると考えられます。
報告書の作成にあたっては、これらの取得したデータをいかに精度を損なうことなく、かつ利用しやすい形態で報告するかが課題であり、従来の紙による報告書ではなく電子報告書システムとしました。
発掘現場
3DレーザFARO計測状況
電子報告書システム
電子報告書システムには堀跡も含めて151の遺構を格納し、時代区分により7遺構面に区分して、データベース化しました(図1)。3Dレーザデータより構築した遺構の3Dモデルは、従来までの図面による報告では不可能であった陰影処理による詳細起伏形状の確認や、任意位置での断面形状の確認が可能です(図2)。また、システム化により、膨大な文書、写真、遺物図面などの関連情報を迅速に検索・閲覧可能となりました(図3、4)。