山岳トンネル工法における3D形状のリアルタイムプロジェクションマッピングシステム
山岳トンネルの施工現場において、現況の地山形状と設計形状の差分をプロジェクションマッピングで可視化するシステムの開発事例をご紹介いたします。
本システムは3DLiDARスキャナと高輝度プロジェクタで構成されており、3DLiDARの取得データを設計データと比較し、差分を赤~青のヒートマップ化して投影するものです。差分ヒートマップは毎秒更新しますので、現況を速やかに確認できます。
設計よりも10cm手前にある箇所は赤色、10cm奥にある箇所は青色、設計通りなら緑色となるように投影することで、例えば、掘削工程においては「赤色の箇所を残らず掘削すれば良い」という判断、またコンクリート打設工程においては「仕上げ面が緑色になるように打設すれば良い」という作業ガイダンスとして利用できます。現状の計測精度は20mm前後で、これは3DLiDARのスキャニング精度と機器の姿勢キャリブレーション精度に依存します。
環境照度が100lxよりも明るい場所ではプロジェクタ投影の視認性が低下してしまいますが、このような環境では、タブレット端末のモニタ画面上で差分カラー付きの3D点群データを確認できるようになっています。
従来ではアタリ確認時の切羽直下作業は重篤災害に繋がるリスクがありましたが、本システムを導入することにより切羽直下への人員の立入りが低減され安全性の向上や省力化に寄与します。
山岳トンネル以外への応用についても開発検討させていただきますので、現況と設計の差分をリアルタイムに可視化したいというご要望がございましたら、ぜひご相談ください。
*プロジェクションマッピング:プロジェクタを使用して実物と投影映像をシンクロさせる映像手法のこと
システム機器外観 | 設置状況 (任意位置へ設置可能) |
トンネル切羽への投影状況 (左:側面方向、右:正面方向) | モニタ画面の3D点群表示 |
※本システムは、株式会社大本組と弊社で共同開発したものです。特許出願中(特願2022-188754, 特願2022-188755)