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 【トピックス】 掲載日:2019年08月20日
砂防事業等の土砂災害における計測技術の役割(当社の実績等)について (第7回)
4.砂防事業における計測技術の役割の整理
この章では砂防事業における計測技術の役割について簡単にご説明しています。

(6) 砂防堰堤等の維持管理におけるUAV測量等の先進機材の活用事例
 i-Constructionの推進やICT機器の急速な発展により、構造物の維持管理のための点検や診断の際に新技術であるUAVや3Dレーザを活用し、効率化と高度化が図られています。これらの新技術は、目視点検に代わり低コストでかつ短時間に高精度な点検・診断を行えることが実証されてきたものの、全てにおいて万能ではなく、以下のとおり課題もあります。
 @ 天候に左右されやすい、計測時間(飛行時間)が短い。
 A 上空からの撮影であるため遮蔽物が有る場合は、その直下の計測は不可能。
 B DID地区等の住宅街では、飛行のために調整(申請許可)が必要。
 C 訓練を受けた高度な操縦技術が必要。

 これらの課題を解決するために、今回、「誰でも」、「いつでも」、「簡単に」、「高精度計測が可能」なことをコンセプトとして、「モバイル3Dスキャナ」により砂防水路工を対象に現地診断を試行した結果を報告します。

1) モバイルスキャナの概要
 スキャナは「KAARTA社Stencil2」により試行を行いました。Stencilは約1.5 kg程の小さな3Dスキャナであり、携帯して対象周囲を歩くだけで形状の取得が可能です。データ取得は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)の技術を用いたスキャナであり、3Dレーザ(LiDAR)、IMU、カメラのデータを統合処理し自己位置推定を行い自動合成で処理を行っています。また、GPSが不要なため、木やビルの陰に隠れる環境や屋内や地下空間などでも計測を行うことが可能です。精度は従来の据置型レーザスキャナには劣るものの(メーカ公称±3cm)、計測時にデータの取得と合成までが完了するため現場でデータを確認することも可能であり、従来の計測手法と比べて作業効率が非常に高い特徴を有しています。

図-1 現地試行状況
 

図-2 調査結果
(左:取得した点群、右:現地写真)

 
2)  試行を行った砂防水路工は、底幅7mのコンクリート三面張り構造であり、S48年に建設されたものであるため(44年経過)、経年劣化による老朽化が著しく、図-2に示すとおり護床ブロックの流出・変状が生じています。この水路工内を図-1の写真のとおり、ステンシル、バッテリーを携行しつつ、モニターを見ながら100m区間の変状計測を行いました。現地試行結果より、モバイル3Dスキャナの特徴を整理すると以下のとおりです。
 @ スキャナは軽量であり、かつ操作も容易であることから、汎用性が高い。
 A スキャナを持ち歩くだけ計測できるため、1人でも計測が可能。
 B UAVが計測不可能な樹木の下でも計測が可能。
 C 水路から20m程度離れている樹木についても計測されており、おおよその形状を把握可能。
 D ブロックの形状や変状についても精度良く(誤差1cm)計測可能。
 E 写真等を同時撮影できないため、細かなひび割れ等は計測不可。
 F 砂防水路工のStencilデータと据置型レーザのデータを比較し、概ね誤差は5cm以内。

図-3 水路断面計測結果
 
 
次回は、砂防事業等の土砂災害における計測技術の役割についての総集編です。

畠山直樹等「モバイル3Dスキャナによる構造物の点検の効率化・高度化」、平成30年度土木学会論文集より引用
 
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